【登録販売者の勉強方法】医薬品の適正使用・安全対策【テキスト第5章2限目】
この記事では登録販売者試験の勉強方法について書いています。独学用です。5章の1回目です。登録販売者試験の第5章「医薬員の適正使用・安全対策」の覚え方、学習のポイントについて書いています。第5章のポイント・要約を教えて欲しい、そんな疑問にお答えします。
侑(Yuu)
この記事を読んでわかる事(記事の内容)
・「副作用等が疑われる場合の報告の仕方」の学習ポイント
・「副作用等による健康被害の救済」の学習ポイント
・「副作用事例とその対応」の学習ポイント
・「医薬品に関する啓発活動」の学習ポイント
この記事を読めば、誰でも登録販売者試験の第5章を簡単に理解し、合格点に到達する可能性を高めらられることを目的にしています。
この記事の信頼性
■【副作用情報等の収集、評価及び措置】
・サリドマイド薬害事件を契機として医薬品の安全性に関する問題を世界共通のものとして取り上げる気運が高まる→世界保健機関(WHO)加盟国を中心に、各国自らが医薬品の副作用情報を収集、評価する体制(WHO国際モニタリング制度)の確率
<副作用情報等の収集>
・国内副作用収集制度は医療関係者からの報告制度と製造販売者からの報告制度の2本立てで、いずれも法的義務
①医療機関からの報告制度【医薬品・医療機器等安全性情報報告制度】
薬局開設者、病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師、登録販売者、獣医師その他の医療関係者は、医薬品の副作用と疑われる健康被害の発生を知った場合に、保健衛生上の危害の発生または拡大を防止するために必要があると認めるときは、その旨を厚生労働大臣に報告しなければならない※実務上は報告書を医薬品医療機器総合機構に提出
<歴史>
項目 | 内容 | 詳細・補足 |
1967(昭和42)年3月 | 医薬品副作用モニター制度 医療用のみ | 約3000の医療機関をモニター施設に指定して当時の厚生省が直接副作用報告を受ける |
1978(昭和53)年8月 | 一般用医薬品による副作用情報収集 | 約3000のモニター薬局で把握した副作用事例等について、定期的に報告が行われるようになった |
1997(平成9)年7月 | 制度化、拡充 | 医薬品等安全性情報報告制度 |
2002(平成14)年7月 | 義務化 | 医療関係者による副作用等の報告を義務化。副作用等に関する情報の収集体制がより一層強化 |
2009年(平成18)年6月 | 登録販売者制度 | 登録販売者もこの制度に基づく報告を行う医療関係者として位置づけられている |
②企業からの副作用等の報告制度
・製造販売業者等にはその製造販売をし、または承認を受けた医薬品について、その副作用等によるものと疑われる健康被害の発生、その使用によるものと疑われる感染症の発生等を知ったときは、その旨を定められて期限までに厚生労働大臣に報告することが義務づけられている。※実務上は報告書を医薬品医療機器総合機構に提出
・薬局開設者、医療施設の開設者、医薬品の販売業者又は医師、歯科技師、薬剤師その他の医療関係者(登録販売者を含む)においては、製造販売業者等が行う情報収集に協力するよう努めなければならない
<歴史>
項目 | 内容 | 詳細・補足 |
1979(昭和54)年 | 副作用・感染症報告制度 | 製造販売業者に対して国への報告を求めた |
1996(平成8)年 | 義務化 | 製造販売業者が副作用等の情報収集の義務明記 |
2003(平成15)年7月 | 生物由来製品 | 血液製剤等の生物由来製品を製造販売する企業に対して、当該企業が製造販売する生物由来製品の安全性について評価し、その成果を定期的に国へ報告する制度を導入 |
<企業からの副作用等の報告期限>
内容 | 報告期限 | ||
医薬品によるものと疑われる副作用症例の発生 | 使用上の注意から予測できないもの | 死亡 | 15日以内 |
重篤 | 15日以内 | ||
非重篤 | 定期報告 | ||
使用上の注意から予測できるもの | 死亡 | 15日以内 | |
重篤・条件付き | 15日以内 | ||
重篤・条件付き以外 | 30日以内 | ||
非重篤 | ー | ||
その他 | 死亡・重篤 | 15日以内 | |
医薬品によるものと疑われる感染症症例の発生 | 15日以内 | ||
外国での措置報告 | 15日以内 | ||
研究報告 | 30日以内 |
<一般用医薬品および要指導医薬品の承認後調査>
・一般用医薬品に関しても、承認後の使用成績に関する調査が製造販売業者等に求められており、副作用等の発生状況等の収集・評価を通じて、承認後の安全対策につなげられている
既存の医薬品と明らかに異なる有効成分が配合されたもの | 医療用医薬品で使用されていた有効成分を一般用医薬品で初めて配合したもの |
10年を超えない範囲で厚生労働大臣が承認時に定める一定期間(概ね8年)、承認後の使用成績等を製造販売業者が集積し、厚生労働省へ提出する(再審査制度) | 承認条件として承認後の一定期間(概ね3年)、安全性に関する調査結果を報告 |
・要指導医薬品は、上記と同様に調査結果の報告が求められている
<副作用情報等の評価及び措置>
・収集された副作用等の情報は、その医薬品の製造販売業者等において評価・検討され、必要な安全策が図られる
・各制度により集められた副作用情報については以下のように評価、措置が行われる
⇓
●厚生労働大臣…結果に基づいて、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、使用上の注意の改訂等、安全対策上必要な行政措置を講じている
■【副作用等が疑われる場合の報告の仕方】
・医薬品の副作用等報告では、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するためとの趣旨に鑑みて、医薬品等によるものと疑われる、身体の変調・不調、日常生活に支障を来す程度の健康被害(死亡を含む)についての報告が求められている
・医薬品との因果関係が明確でない場合でも報告対象になる
・安全対策上必要があると認めるときは、医薬品の過量使用や誤用等によるものと思われる健康被害についても報告
・副作用は、使用上の注意等に記載されているものだけでなく、副作用の症状が適応症状と見分けがつきにくいものもあるので注意(かぜ薬による間質性肺炎など)
<報告対象となる医薬品等>
医療品等(医療用医薬品・要指導医薬品) | 報告対象 |
医療部外品・化粧品 | 自発的な情報協力を要請 |
無承認・無許可医薬品または健康食品 | 最寄りの保健所に連絡 |
<報告の仕方>
報告様式の入手 | 医薬品医療機器総合機構の「医薬品医療機器情報ホームページ」より入手 |
記入方法 | ・患者の氏名はイニシャルで記載
・報告様式の記入欄すべてに記入する必要はない ・複数の専門家が医薬品の販売に携わっている場合でも、医薬品の副作用等によると疑われる健康被害の情報は直接接した専門家1名から報告書が提出されれば十分 |
報告期限 | 適宣速やかに報告書を総合機構に送付(特に定められていない) |
送付方法 | 郵送、ファクシミリ又は電子メール |
確認書の交付 | 報告者に対し「安全性情報受領確認書」の交付 |
■【副作用等による健康被害の救済】
・サリドマイド事件、スモン事件を踏まえ、1979(昭和54)年に薬事法改正
内容:再審査・再評価制度の創設/服作用等報告制度の整備/緊急命令、廃棄・回収命令など
⇒それらと併せて出来たのが、医薬品副作用被害救済制度
<医療品副作用被害救済制度>
・医療品を適正に使用したにもかかわらず発生した副作用による被害者の迅速な救済を図るため、製薬企業の社会的責任に基づく公的制度として運営
・費用
事務費:国庫補助により2分の1相当額が賄われる
[医薬品副作用被害救済制度のしくみ] ①給付の請求は、健康被害を受けた本人または家族
②薬事・食品衛生審議会の諮問・答申を経て厚生労働大臣が判定
③制度の運営は総合機構が行っている
※総合機構は医薬品などの健康被害救済、承認審査、安全対策の3つの役割を一体として行う公的機関
・医薬品副作用被害救済制度に加え、2004年(平成16)年 「生物由来製品感染等被害救済制度」創設
・総合機構のその他の業務
①関連製薬企業または国からの委託を受けて、裁判上の和解が成立したスモン患者に対して健康管理手当や介護費用の支払業務
②(財)友愛福祉財団からの委託を受けて、血液製剤によるHIV感染者・発症者に対する健康管理費用の支給
給付の種類
給付の種類 | 金額 | 請求の期限 | |
医療費 | 医療品の副作用による疾病の治療に要した費用を実費補償するもの | 健康保険等による給付の額を差し引いた自己負担分 | 医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われた時から5年以内
※平成20年4月30日以前は2年以内 |
医療手当 | 医薬品の副作用による疾病の治療に伴う医療費以外の費用の負担に着目して給付されるもの | 定額 | 請求の係る医療が行われた日の属する月の翌日の初日から5年以内
※平成20年4月30日以前は2年以内 |
障害年金 | 医薬品の服作用により一定程度の障害の状態にある18歳以上の人の生活保障等を目的として給付されるもの | 定額 | 請求期限なし |
障害児養育年金 | 医薬品の副作用により一定程度の障害の状態にある18歳未満の人を養育する人に対して給付されるもの | 定額 | 請求期限なし |
遺族年金 | 生計維持者が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族の生活の立て直し等を目的として給付されるもの | 定額、ただし最高10年間が限度 | 死亡の時から5年以内※2年以内の場合あり |
遺族一時金 | 生計維持者以外の人が医薬品の副作用により死亡した場合に、その遺族に対する見舞等を目的として給付されるもの | 定額 | 遺族年金と同じ |
葬祭料 | 医薬品の副作用により死亡した人の葬祭を行うことに伴う出費に着目して給付されるもの | 定額 | 遺族年金と同じ |
支給対象/対象外のポイント
内容 | 支給対象 | 支給対象外 |
適正使用 | 医薬品を適正に使用したにもかかわらず、副作用によって一定程度以上の健康被害 | 医薬品の不適正な使用による健康被害 |
程度 | ・副作用による疾病のため、入院を必要とする程度の治療が必要な場合(入院治療が必要と認められる場合で、やむをえず自宅療養を行った場合も含まれる)
・副作用による重い後遺障害が残った場合 |
医薬品を適正に使用して生じた健康被害でも特に医療機関での治療を必要とせずに寛解したような軽度のもの |
給付制度の対象とならない医薬品
医薬品 | 要指導医薬品または一般用医薬品
・殺虫剤、殺鼠剤 |
その他
・製品不良などの製薬企業に損害賠償責任がある場合→医薬品PLセンターへ ・無承認無許可医薬品(いわゆる健康食品、個人輸入により入手された医薬品を含む)→健康食品は保険所へ |
給付の請求に必要な書類
・医師の診断書
・要した医療費を証明する書類(領収書等)
・その医薬品を販売等した薬局開設者、医薬品の販売業者の作成した販売証明書
医薬品の副作用であるかどうか判断がつきかねる場合も、給付請求を行うことは可能
<医療品PLセンター>
医療品副作用被害救済制度の対象とならないケースのうち、製品不良など、製薬企業に損害賠償責任がある場合には、「医薬品PLセンター」への相談が推奨される
1994(平成6)年、製造物責任法(PL法)の成立に伴い、日本製薬団体連合会において1995(平成7)年7月のPL法の施行と同時に開設
開設の目的:
消費者が医薬品または医薬部外品に関する苦情について製造販売元の企業と交渉するに当たり、公平・中立な立場で申し立ての相談を受け付け、交渉の仲介や調整・あっせんを行い、裁判によらずに迅速な解決に導くこと
■【副作用事例とその対応】
一般用医薬品の有害事象から学ぶ
事例 | 原因薬剤 | 副作用の内容 | その後の対策 |
アンプル入りかぜ薬 | 解熱鎮痛成分のアミノピリン、スルピリンが配合されたアンプル入りがかぜ薬 | ・重篤な副作用としてショック
・計38名の死亡例 ・アンプル剤は他の剤形に比べて吸収が早く、血中濃度が急速に高値に達するため、通常用量でも副作用を生じやすいことが確認 |
・アンプル入りかぜ薬製品の回収要請
・その他のかぜ薬につても承認基準を制定、成分分量、効能効果等の見直し |
小柴胡湯による間質性肺炎 | ・小柴胡湯
・小柴胡湯とインターフェロン製剤の併用 |
・インターフェロンとの併用を禁忌とする使用上の注意改訂
・しかし改定後も、慢性肝炎患者が小柴胡湯を使用して間質性肺炎を発症し死亡例も報告 |
・1996年:緊急安全性情報配布(当時の厚生省→関係製薬企業へ配布支持) |
一般用かぜ薬による間質性肺炎 | 一般用医薬品のかぜ薬 | ・2003年5月までに、一般用医薬品のかぜ薬によると疑われる間質性肺炎が計26例報告
・死亡例なし(いずれも回復または軽快している) |
・2003年「使用上の注意」改訂
(症状が悪化した場合は受診する) |
塩酸フェニルプロパノールアミン含有医薬品による副作用 | 塩酸フェニルプロバノールアミン(PPA) 鼻水、鼻づまり等の症状の緩和を目的として鼻炎用内服薬、鎮咳去痰役、かぜ薬当に配合 |
・2000年米国:出血性脳卒中の発生リスクとの関連性が高いと報告→女性が食欲抑制剤として利用した場合
・2003年8月国内:PPA配合医薬品による脳出血等の副作用例が複数報告→多くが用法・用量の範囲を超えた使用、禁忌とされている高血圧症患者の使用→いずれも回復し軽快している ・死亡例なし |
・米国内:PPA含有医薬品の自主的な販売中止が米国食品医薬品庁より要請
・日本:厚生労働省より関連製薬企業等へ以下を支持 |
■【医薬品に関する啓発活動】
登録販売者においては、一般用医薬品の販売等に従事する医薬関係者(専門家)として、適切なセルフメディケーションの普及定着、医薬品の適正使用の推進のため、医薬品に関する啓発活動に積極的に参加、協力することが期待されている
「薬と健康の週間」 | 「6.26国際麻薬乱用撲滅デー」 | |
目的 | 医薬品の持つ特性及びその使用・取扱い等について正しい知識を広く生活者に浸透させることにより、保健衛生の維持向上に貢献すること | 薬物乱用防止を一層推進する |
期間 | 毎年10月17日~23日(1週間) | 毎年6月20日~7月19日(1ヶ月間) |
実施内容 | 国、自治体、関係団体等による広報活動やイベント等を実施。医薬品及び医療機器の適正な使用に関する啓発及び知識の普及に努めると規定されている | 国、自治体、関係団体による「ダメ。ゼッタイ。」普及運動実施 |
・薬物乱用や薬物依存は違法薬物によるものばかりではなく、一般用医薬品によっても生じることがある
・要指導医薬品または一般用医薬品の乱用をきっかけとして、違法な薬物の乱用につながることもある
・医薬品の適正使用の重要性に関して、小中学生のうちからの啓発が重要
■【まとめ:第5章「副作用情報等の収集・評価・措置・報告・救済、事例と対応、啓発活動」(2限目)】
勉強ポイントのまとめです。
・「貼付文書の読み方」はマークまで覚える。「その他の注意」はマークなし。
もし、このシリーズ記事を始めの「1章1限目」から読んでい頂いた人がいれば嬉しいです。
登録販売者試験の内容を全て暗記するのは不可能です。ポイントを絞って暗記することで、勉強の効率は格段に上がります。まずは実生活、身近なことから再確認で勉強していきましょう。
登録販売者の試験内容は自分の生活(薬を選択するとき)にも役に立ちます。ぜひがんばって下さい。
参考:厚生労働省「試験問題作成に関する手引き(平成30年3月)」より